<基準日:2020/4/29><投稿日:2021/4/2>
コロナ禍で着手したけど出来ていない片付けや読書のひとつ。
大阪には旅行でたまにしか行かないので、気になってはいた。本誌を購入した最大の理由は、レール輸送。越中島への貨物支線(直接国鉄JRが取り扱う範囲の違いで小名木川支線と呼ばれていた時期もあった)のすぐ横の亀戸のマンションに住んだことがあり懐かしいほか、養父の職場が横浜レールセンターで、移転候補として越中島になっていたものの、移転前に退職してしまい、残念とか言っていたから。
国鉄最後の日はどうやって過ごすか?鉄道趣味者のリストか何かがあって、テレビ局から動員?(汐留だったかな?)みたいな連絡があったが、フリー切符が手に入り、夜行列車で過ごすことにした。夜行列車の寝台券や指定券などは、即完売で手に入りそうになっかたので、自由席に並ぶことになった。帰りやすさを考え、急行きたぐに大阪発新潟行きにした。たしか5時間くらい前から長蛇の列に並んでおり、どう考えても積み残しの状態だったので、続行便が出たが、私は定期列車に乗った。その大阪駅で待つ時間、ポータブルテレビで色々チェックしていたが、梅田貨物駅に蒸気機関車が来て賑わっていたようだ。指定券が手に入っていれば、ようすを見に行くことも出来たのに残念。
東京の汐留が不動産投機抑制の観点から、土地売却が先送りされたが、大阪梅田貨物駅は、ヨドバシカメラのある辺りは割と早く再開発されたが、それ以外はずいぶんと再開発に時間がかかっているように思う。遅かったぶん、なにわ筋線の大阪駅乗り入れや建設問題も絡んで、どんどん複雑化しているように思う。
本誌ではなにわ筋線関連のもっと突っ込んだ記事を期待したが、けっこうあっさりしており、大阪近郊全般の記事としてまとめられている。
レール輸送の現場の話題の方だが、鉄道のレールは25mの規格レールを輸送船で製鉄所から鉄道会社のレールセンターに運び、レールセンターではストックしたり、溶接して200mロングレールに加工している。レールセンターから工事箇所には長物車の貨車で輸送され現地で降ろし、現地でさらに溶接されたり絶縁をいれたり加工している。最近では150mの長さで製鉄所から貨車で運び込む方法もあるようだ。製鉄所ではすごい長さのレールが成型され25mで切ってまた現地で溶接と言うのは、輸送の問題があるにせよ無駄な作業だと思っていたが、製鉄所に近い東海地方以西ではこれが主流になるそうだ。
旧国鉄やJRにはレールセンターがあって、立地的には海上輸送が出来る場所が適地となり、関東地方にはかつて西千葉、横浜高島町にあったのだが、前者は海辺に無いため、大量輸送には向かず、横浜レールセンターへ移転したようだ。私の養父は、千葉と横浜のレールセンターを経験しているほか、新幹線工事で国鉄の直接施工となった現場(レール発進基地)にて溶接の技術者として飛び回っていたようだ。
それでなぜ、越中島にレールセンターがやって来たかというと、みなとみらい地区の都市計画で国鉄は資産売却のめどがたったので、越中島を候補地としたようだが、実際にはJRに桜木町の施設が継承され、越中島駅の貨物輸送が無くなったことで、JR化後に移転したようだ。
越中島駅は国鉄改革の時期、両国駅のバス営業所の移転(国技館や博物館の土地)から再開発が始まり、現在では日本一ではないかと思われる大規模なバス車庫になった。敷地の余裕度が高かったことから、国鉄は積極的に新規路線を開拓し、JRバス関東となってからは、ちょうど高速道路が各地に網羅されたこと、国鉄時代からの余剰人員を出向者として大量に受け入れられたこと、ちょうど良い地区にやはり国鉄時代から引き継いだバス車庫があり、それを乗務員基地とすることで、長距離路線であってもワンマン運行出来、私鉄系高速バスではコスト的に割に合わないような区間でも、どんどん路線を開設し、さらに地方私鉄と組むことで、驚異的な路線開設を行った。最近では(ツアーバスの高速路線バス化以降)元々競合する私鉄系高速バスと共同運行するなどJRバスを中心に統合される動きもあって、越中島に土地をもっていた国鉄由来のJRバスは盤石である。新宿系統のバス路線拡張にあたっては、はとバス(東京都の子会社)と組んで、都バス杉並車庫を活用出来るようにしたようだ。
越中島駅の貨物機能の縮小によって余剰地となるような場所であったが、レール海上輸送との接点として適地であるので、JRバス用地を残してレールセンター用地となった。
製鉄所でのレール製造は、国内2社2拠点(新日鉄住金、JFE)しかなく、新日鉄住金では、150mレールの貨物列車での輸送や船舶での輸送など積極的に投資しているが、今後JFEが撤退なんかしたらと心配である。150mレールの貨物列車輸送では、特に線路がつながっているJRではレールのストックや加工を最小とすることが出来るが、需要者側である程度ストックしておかないと、大震災などの広域大災害に対応出来なくなり、資材ストック設備としてレールセンター設備は残しておくべきインフラである。