<読書日:2021/5/24、投稿基準日:2021/5/25>
現在『積ん読本』が貯まっており、順次読破しています。だいたい今年に入ってから、読書への意欲の低下が見られ、一方情報収集癖は衰えなかったので、貯まる一方です。
また、ブログに読書記録することも停滞中で、読破後放置された本も『第二の積ん読本』になっています。
今回は、半年くらい前に『リニア新幹線』問題について研究しようと購入した本のなかのひとつ。だいたい次の3書を購入し、実際に読んだのは購入とは逆順です。
ネットでリニア新幹線が環境問題やJRの経営問題になっていることを調べていて、本書にたどり着きました。
(2)<リニア新幹線が不可能な7つの理由、樫田秀樹著>
最初に購入した本には、具体的に『環境問題』や『JR東海の不誠実さ』などは、別の本を参照する方が良いとされており、本書を探しました。
(3)<「国土強靱化」批判、五十嵐敬喜著>
当初『純民間事業としてJR東海が事業者』とされたのに対し、『財政投融資3兆円』、『用地収容、残土処理などを自治体に丸投げ』など不可解な事案を解明するためには、自民党安倍政権で、国土強靱化など東日本大震災後の公共事業のありかたがどうなっていたかを理解するために購入しました。
本文は(3)<「国土強靱化」批判、五十嵐敬喜著>についての読後感想になります。
やはり日本は土建国家から脱し得ない状況にあり、民主党政権で『コンクリートから人へ』と言う命題を打ち出したものの、具体策に欠け、自民党政権小泉内閣からの公共投資抑制の延長にしかならなかった。
東日本大震災後、消費税増税などのドタバタに乗じて、民主党から政権を奪い返した自民党は、震災復興とこれから起きるだろう災害対策をミックスして『国土強靱化』を打ち出すのだが、公共投資のあり方として、便益効果はなくとも、需要は関係無く、『いつおこるかわからない』災害対策としての公共土木事業を許してしまう方向に至ってしまった。
国民には消費増税は『社会保障などの福祉に向けられる』と説明しておきながら、増税法案附則に『成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野』に当てられることを許してしまっているとのこと。『成長戦略』とは『アベノミクス』そのものであり、『事前防災及び減災』についても範囲や規模、分野が『政治的意図』によっていくらでも変えられるものであることが危惧される。
私は昭和44年生まれだが、小学生時代『東海地震』について『国内で最も危険性のある<予想できる>地震災害』だとされたが、人生50年あまり生きてみた結果、阪神淡路、東日本が大都市まで被害にあった大震災である。
東海地震については、テレビ放送義務教育でも良く説明周知されいた。発生の兆候がでたら、危険域への一切の進入禁止や危険域外への避難など、若い人が聞けば驚くほどの『国民の行動制限を伴う対策』が練られていた。いたずらに国民の危機意識をあおっており、同時に富士山が大噴火すると『ずっと予言を続けた学者が印税で大もうけ』しているなあと子供心に思ったものである。(まだ富士山は大噴火していない。)
現在は過去の研究情報がネットで検索出来る便利な時代となっており、公式な地震観測は気象庁で行っている時代、気象庁よりも高密度に観測網を持っていたのは当時の国鉄だった。国鉄の研究者は、『東海道新幹線よりも海溝型地震活動の活発な東北新幹線沿線での対策』を研究検討していたようだ。
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00037/531/531-121643.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/83/12/83_1058/_pdf/-char/ja
https://www.jaee.gr.jp/jp/wp-content/uploads/2012/02/kaishi08.pdf
実際に高架橋が破壊され長期運休となった新幹線は、阪神淡路の山陽、新潟の上越、宮城沖の東北で複数回となっており、現実の報道を含む地震体験からすると、『東海地震は予測可能』と言うアレはなんだったのかと思う。
本題に戻ると、『成長戦略』としての『アベノミクス』、『減災対策』としての『リニア中央新幹線』として、『3兆円の財政投融資』による『大阪開業8年前倒し』のための投資なのだが、いくつかの疑念がある。
『3兆円の財政投融資』は、大阪開業のための施設建設そのものに対して行われるのでは無く、東京名古屋間建設の資金に充てられることだ。一般的な金融機関を通しての借り入れより、金利差等で5千億円有利と報道されており、『1民間企業の投資案件に5千億円補助』したことになる。
私はリニア中央新幹線についての疑念から本書を購入したが、本書は人口減少時代にむけての公共事業について良い提言をしており、将来確実に人口減少に向かうことがわかっており、維持できないような公共事業についての危惧を指摘している。税収が増えることが見込まれない他、点検補修する人材さえまかなえない時代が来るのだから。
(もう既に日本中で人材不足は始まっており適材適所に必要な技術を持った人材が配置出来ず、頭数あわせになっており、一部の有能な技術者が過労死ラインの業務をこなす一方、その逆の人もおり、、、、)