#国際医療福祉大学 #高橋泰 教授の『コロナ楽観論』が不安定な主張であるいくつかの証拠を仮説する。
記事を読むポイントとして
1)いつの情報に基づいた仮説であるか?
2)仮説の根拠数字は第1波が収まる前に考察されたのでは?
3)最新の情報ではないのに、最新の情報であるかのように振る舞っていないか?
です。このポイントを理解していないと、だまされます。
なお私は医学者でない、強いて言えば数字の矛盾を突っつくのが好きな測量士である。
突然世間に出てきた感がある『コロナ学者』
東洋経済オンラインの大崎明子氏との対談形式を取っている。
記事を発表後、不都合な指摘が出たときに修正する形態を取って『続報』としている。
第一弾記事7/17
第二弾記事7/27
第三弾記事8/7
第一弾記事での主張
・日本人はもう既に30%暴露している。
→暴露というあまり聞き慣れない言葉をつかう。この数字、暴露率はこの理論の重要な要素を構成しているが、『仮説のための仮定の数字』である。
→現状検証の出来ない数字である。
・暴露した30%の日本人のうち自然免疫で98%治癒としている。
→(説によるステージ1)暴露したが感染したことがない。(説によるステージ2)感染したが自然免疫で対抗する。(1)(2)合わせて98%治癒としているが、そもそもそう言う分類の人たちは感染発病していないのだから、治癒として良いのか?
→説による後のステージの『ステージ比率』を極小に見せかけるため、分母としての暴露者を盛っていないか?
→PCR検査、抗体検査などの、現状行われている、新型コロナウイルス陽性者、感染者発見方法との整合性などは語られていない。
・暴露した30%のうち極わずかな人数しか死亡しない。
→記事発表時7/17PCR陽性者からの死亡率が、4%程度(分子死者1000人、分母陽性者24000人)から違和感しかない。
・死者は最大で3800人
→根拠が乏しいのと、テレビ出演などの他の主張で、既に暴露している人は最暴露しない(残り70%を対象)として計算しているようなことを言っており、どういう基準でこう言う数字になったのか不明確。
→日本人全体の曝露率は『30%』とする一方、高齢者の曝露率は『10%』としており、3800人ありきで、なんか調整して計算しているように思う。
・検査ではなく重症者対策を
→この結論ありきのように思えてしまいます。
テレビ出演、フジテレビとくダネ!2020/7/24(金)
映像が削除されたので興味ある方は検索画面からどうぞ
それまでもいくつかテレビに出ていたようだが、ここで決定的な発言をしてしまう。
テレビで放映された図表が、ずいぶんと端折ったものでその辺で突っ込まれ矛盾点が発生。
【新型コロナ vs 自然免疫 BCG】インフルより毒性弱い【高橋モデル】2020/07/24
発言抜粋
・計算したのは4月5日の日、当時はまだ(死亡者が)300人ぐらいだった。
・当時は欧米400倍死んでてとにかくびっくりした。
・計算してみて(日本人は)こんなに少ないんだとびっくりした。
・国民の3分の1が暴露して今まで1000人亡くなっている。
・残りの3分の2が全員暴露したとします。今まで(4)千(万)人暴露して1000人亡くなっているから、残りの8000万人患ったら、そこで2000人亡くなるだろと言うのが大雑把な考え方で、1000と2000足すと3000になると言うのが、
大雑把に言うと3800人の基本的な考え方になる。
発言の検証
4月5日の新型コロナウイルスの死亡者は70人、300人を超えるのは4月24日、テレビ発言で死亡者1000人は7月下旬の話。(東洋経済オンライン参照)
欧米の死亡者について、ここでの欧米の定義がわからないのでなんとも言えないが、世界規模で死亡者について比較すると、500~1000倍程度となっている。(ロイター参照)
9:00の話で、仮説を作った当時のは4月5日で300人と言っているのにかかわらず、12:25の話で、国民の3分の1が暴露して今まで1000人と話が変わっており、既に暴露した人は、もう患わないとしている。
SNSの意見
#コロナウィルス#フジテレビ #とくダネ#国際医療福祉大学 #高橋泰
— Ryo Kohda (@RyoKohda) 2020年7月24日
暴露した人の0・001%が死亡➡️10万人に1人が死亡
日本の死亡者1000人を掛けると日本の暴露者は1億人になるけど⁉️
完全におかしいな‼️
全国民の三割3600万人しか暴露してたないんやろ⁉️
このオッサン デタラメ‼️
とくダネ!出演時に4000万人暴露と言っているのにもかかわらず、いくら大雑把とはいえ、デタラメな数字を並べているとしか思えない。
このような不自然さが指摘される中、第二弾記事が掲載されました。
第二弾記事での主張
・日本人の30%の暴露の計算方法について記述と別文献のリンク
・5月10日を起点、6月7日の動向、7月25日の暴露比率30~40%。
→テレビで言っていた、4月5日、死亡者300人との関係が良くわからない。
リンク先からわかること(上)
・表1(6/11)欧米との比較、感染者数、死亡者数、日本比約30倍~120倍
→テレビで言っていた400倍とかではない。
・表2(5/10)日本の年代別重症度比較、死亡者数403人
→仮説の基本データは5月10日なのだろうか?
・表4、7段階感染モデル、東洋経済オンラインやテレビ等のメディアに良く露出する図表の原本
引用すると次ような記載
筆者らは、現在正確な数を把握できない暴露者数をパラメータ化し、どの程度の暴露者がいると想定すると、現在の動きと合致するかというシミュレーションを行い、暴露者数の予測とその結果をもとにした新たな感染者数の予測を行った。シミュレーションの方法ともう少し詳しい結果は次回紹介するが、表4に示すステージ別の比率は、パラメータの設定で大きく変動するので、確度の低い参考値としてみていただきたい。
大々的にメディア上に出ている極小の数字は、確度の低い参考値だと述べている。
リンク先からわかること(下)
・表1(上)の表4と同じ、7段階感染モデル
→表内ではステージ0(暴露していない)を国民の7割を想定しているとあるが、解説文にて、日本の死亡者が少ない理由を『高齢者の低い暴露』とか、『欧米より低い』とか何かデータによって裏付けされたものでなく、(筆者による推測的な)説明を試みているとのこと。
不完全な仮説であることを表明している以下引用
今回の多くの仮説を基に組み上げた不完全な新型コロナ感染症7段階モデルを公表した理由は、コロナの対策を考えるときに、インフルエンザ的な振る舞いを行う従来の感染症モデルだけではなく、暴露しても感染しない人、感染しても無症状や軽度な症状でコロナのエピソードが終了する人が数多く存在することを前提とした議論も行い、今回示した新型コロナの感染パターンに合った感染モデルを用いた検討も行うことにより、より実態に合った対策が講じられるようになると考えたからである。
予測精度の非常に低いもの以下引用
今回の結果は、モデルのパラメータを変動させると結果も大きく変動し、予測精度の非常に低いものであるが、今後の議論のたたき台となる数字が必要と考え、 公表に踏み切った。
予測が外れると医療崩壊とも書いてある以下引用
これまでの累計死亡患者数が929人 (2020年6月7日)ということから考えると、予測が上にぶれると、医療崩壊を含む、かなり大変な状況になることが予想される。
・図4、日本とヨーロッパとの違いを表す図
→島国で衛生環境の違う日本(国民性としての清潔好き、上下水道、高温多湿)と、なんで違うかの説明がないので、にわかに信じられない。そもそもここで良く出てくる暴露率が、コロナ流行が早い時期に始まったヨーロッパと同じとする根拠が不明である。流行が早く始まった方が、先にウイルスが蔓延していると考えるのが普通ではないか?
第三弾記事での主張
・自説を『新型コロナ観A』と名付けた。それ以外が『新型コロナ観B』
・『B』の人は『事実を認め、間違いを修正するべき』
・GoToキャンペーンでも、感染者は増えているが、重症者、死亡者は増えていないと主張。
→もはや『コロナ大丈夫新教』になっている。重症者は増えていないように見えるが、早めのPCR検査、早めの投薬で重症化させないようにがんばっている医療機関については、あまり語られず。
→PCR検査の拡充(それでも世界的には少ない)から、第二波流行初期においては、早めの陽性者発見につながり、軽症中等症者の重症化が防がれているとの報道がある。また重症者のカウントは報道では累計ではなく病床使用単位なので減ったり増えたりする、また死亡者の中には重症にカウントされることなく容体急変で急死となる例があるようなので、見かけ上は少ないと見られる。
→PCR検査の遅延が発生するような地域(具体的には大阪、沖縄)では、陽性者が急増し、発症から時間が経っているので、検査後いきなり重症化患者として扱われる事例が増えてくるのではないかと懸念される。
最後にまとめ
#国際医療福祉大学 #高橋泰 教授の違和感のある主張を見てきたが、『楽観論』を主張するための詭弁に見える。
この『仮説』に出てくる『暴露』と言う概念、『暴露』は計測不可能であり、日本人人口、死亡者数は確定数であるのもの、PCR検査陽性率、抗体検査陽性率からの日本人全体のウイルス保有率、抗体陽性率などの数字の扱いも、結論を導くため、恣意的に設定されており裏付けされた数字ではない。
世界的にも、検査の少ない日本でもPCR検査陽性者を分母として各種統計のとりまとめが行われており、こういったデータからも、新型コロナウイルスは、危険な流行病であるとするのが一般的な考え方で、安易に『楽観論』『風邪の一種』『PCR検査不要』を吹聴するのは好ましくない。
東洋経済オンラインでの主張に違和感があるのだが、そのベースとなっている、社会保険旬報での記事は3者共同執筆となっており、『確度の低い参考値』『不完全な仮説』『予測精度が非常に低い』『上ぶれすると医療崩壊』『欧州との比較等高齢者を10%暴露としてつじつまを合わせる』点が記されている。にも関わらず、共同執筆者の高橋泰教授のみ、メディア露出での楽観論が目立っており、メディア上では、『7段階感染モデル』がどの時点でのモデルかはっきり言及せず(説明できず)、見る人によっては信頼できない説明となっている点に注目している。
追加補記(週刊新潮8月6日号について)
2020/7/30発売の週刊新潮をストックして置きました。さして従前の主張と変わりないと思っていましたが、ブログを掲載後再読しましたところ、とても気になる『拡大解釈誇張表現』であることがわかりましたので追加補記します。
記事タイトル
実は3人に1人は感染済み!「コロナ拡大」を恐れる必要がないこれだけの根拠(記名)
→読み直しで気がついたことは、『暴露』と言う表現が『感染済み』と飛躍した表現になっていること。
見出し引用
(記名)いわく、「日本人の3分の1はもうかかっている」
→東洋経済オンラインから、表現がパンチアップしている。
それでいつ頃かかったのか書いてありました。記事引用
今年1~2月にかけ咳が出る風邪が流行していましたが、これは新型コロナに感染しての症状であった可能性が非常に高いと考えています。
→これ本当で日本人に自然免疫が強いんだったらそもそも、第1波も起きないのでは?
よくわからない『発症者』の定義
BCGが高めた自然免疫とする段落で『発症者』と言う言葉が出てくる。
欧米との発症比率について以下引用
このため、軽症以上の発症比率を日本の5倍、10%と仮定しています。
引き続き引用
ちなみに発症者死亡率は0~69歳で0.01%、70歳以上で40倍の0.4%。 一方欧州ではそれぞれ0.05%、2%でした。
→記事執筆時点でのPCR検査陽性者の死亡率は3~4%と推測されるので、発症者のここでの定義はナニ?ってことになりませんか?70歳以上の0.4%って数字を参照しても、PCR陽性者数の10倍以上の発症者がいないといけない?
PCR検査拡大の弊害、PCR検査を今より絞り込めと言うメッセージ以下引用
PCR検査は、高齢者や基礎疾患がある人など死亡率が高い人以外は、高熱などの症状がある、肺炎を起こしている、と言う場合に行えばいいと思います。
→本当に医療現場から話を聞いているか疑問。ネットで調べると、教授所属の付属病院ですら、入院時検査の項目にPCR検査が入っている現状だとか。