浅田次郎原作の小説の映画化。地下鉄に乗って都内を商談に駆け回る主人公の真次。地下鉄駅で恩師に出会う所からタイムスリップの旅が始まる。
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なぜか半蔵門線の駅から、真次の亡くなった兄の影を追うと、東京オリンピックで賑わう新中野駅前の街角へ。主人公のタイムスリップと空間移動は、彼のバラバラになった家族の姿の原型をたどる旅であった。幾度となく起こるタイムスリップと空間移動、不倫相手のみち子も巻き込んでいく。
当初は郷愁を誘うイメージの映画かと思ったが、次第に物語は、生々しい不倫や、家族の葛藤、不倫相手の存在の真実まで至ってしまう。終戦直後の混乱するシベリアまで移動してしまったり、終末が腑に落ちない点もあるのだが、地下鉄が過去へ導くタイムトンネルになっているという設定は面白いのではないだろうか。終戦から戦後の高度成長期の風景を描く作品だと、ある程度観客は見込めると思っての映画化なのだろうか?そんな映画がちょっと増えすぎているような気がしなくもない。