<日付:2023/6/12:202306012>
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ドニエフル川カホフカダム堤体破壊による北クリミア運河の回復不能状態化は、ロシアのクリミア半島撤退の序章か?
<ウクライナ侵攻前の2つのロシア占領地域の違いからわかること>
1)クリミア半島
・地形的にウクライナ本土から分離
→水資源、電力の8割以上をドニエフル川沿岸地域から得ていた
→インフラライン上流側のウクライナによって『水資源』『電力』を遮断
・ロシアはケルチ海峡にインフラを構築
→井戸によって『水資源』を得ようとするも、塩害が発生
→ケルチ海峡クリミア大橋にインフラが集中することによる不安定
→クリミア大橋の架橋は象徴的であるが、大橋前後のインフラが脆弱
2)ドンバス地域(ドネツク州、ルハンシク州の親露派支配地区)
・地形的にウクライナ本土と一体
→水資源、電力を『ウクライナのインフラにタダ乗り』
→政権側、反政権側勢力が混在しており、反政権側が『インフラの対価を払わない』としても供給を停止出来ない。
・生産資源をロシアに運搬しやすい
→『インフラのタダ乗り』とともに『違法操業課税逃れ』した『安価な生産物』をロシアが得ているのでは無いか?
遮断されている『北クリミア運河』(農業用水路)などの位置
いくつかの箇所でポンプアップされており、自然流下しているのは、クリミア半島にはいる前まで。ポンプを動かす動力が必要で、電気が得られないと言うのは運河にとって致命的。
ロシアの進軍で、半島入口にある運河の障壁を取り除いたとされるが、10年もまともに通水していない運河がすぐに復旧できるとは思えない。
原発6000MW、火力3650MW、水力350MWの発電能力が、ドニエフル川東岸(ロシア支配地域)に集中しており、当初からこれを狙ってロシアが進軍してきたことは明らか。
電力発電能力10000MWは、ウクライナ全電力の1/3にあたる。
ロシアの進駐後、これらの発電所はまともに稼働していなかったと思われ、クリミア半島方面の電力不足解消を狙ったと思われるが、むしろロシアの進軍エリアで電力不足になってしまったのではないか?
ザポリージャ原発火力発電所から湖水を超えて行く送電線網(北方)
発電所の位置が送電しやすい位置にあることわかる。
地図サイトから得られる情報は多く、
ロシアは『クリミア大橋』でクリミアでのインフラ整備に力を入れているかと思われがちだが、クリミア大橋東岸開発事業の規模が圧倒的で、『クリミア大橋』は、そのついでぐらいなのではと思ってしまうものがある。
次回は『ついでに作ったクリミア大橋』について考えてみたいと思う。