うたちゃん日記

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高速道路と我田引水、政治家と建設省(その2)

【日本の伝統芸・我田引水は繰り返す】高速道路建設早期の政治的混乱と現在に至るインフラストック不足(その2)1954年昭和29年衆議院経済安定委員会議事録から

<日付:2021/7/25>

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高速道路の早期建設が望まれていた時期、不毛の議論が行われていました。国土開発には当時2つの意見があったことがわかります。以下は議事録から私の主観で要約したもの。

敗戦後、外地を失った日本がどこに生きる道を選ぶかと言うことです。

1)国土の可住地を30%から60%に引き上げ森林地帯に産業を興し資源を開発し、食料人口急増問題を解決する。産業は国内で出来るだけ完結させ自給自足出来るように。既存市街地改造は、費用と時間がかかるので山岳部に新天地を求めると言う説。

2)まずは、行き詰まっている既存交通網を改善し物流を良くし、沿岸部の復興を加速させ、必要な食料や原材料資源を海外から輸入し、資金確保のために生産物を海外に輸出する。現実目の前にあるボトルネックを解消しつつ、適材適所のインフラ整備を行うと言う説。

手法を持たない理論と現実重視の隔たりが大きい

1)日本を『縦貫道』(背骨)と『横断道』(肋骨)で直線直角的にカバーする高速道路網を構築する。費用については未開の森林地帯であるから、森林開発の利益で回収出来る。なお『静岡から大阪への貨物』は、静岡市内沿岸部から井川(赤石山脈南アルプス)まで『横断道』、井川から大阪まで『縦貫道』で行くのが混雑する東海道を通らなくて早いとしている。

(以上の反論と指摘)

2)森林開発はそれに適した道路(開発道路と高速道路を区別するべき)を通せば良い。中央道井川ルートの問題点は、勾配曲線が多く本来の高速道路の特性を活かせない。(静岡県井川地区について)標高が高すぎて(降雪凍結などの悪天候があり)年間を通して共用出来ない。赤石山脈は標高940m登坂しなくてはならず困難。これを無理に共用すると維持管理費が膨大になり現実的で無い。直線的『縦貫道』と直角的『横断道』では、整備距離が長くなりすぎて建設費と維持費が高く、(当時の)年間道路投資額200億円の規模から(整備時間がかかりすぎ)難しい。まずは利用度の高いものから建設するのが望ましい。静岡市から井川まで『横断道』を作るのは千mを登坂する道路で現実味の無いほど高コスト。現実には高速走行できない『縦貫道』は高速道路ではない名称で作ったらよい。

 

東名と名神は『高速』で、中央は『自動車道』(1972年変更)なのは、諸説あるけど構造上早く走れませんよと言うことも含まれているのかしら?

実際の議事録を見てみる

kokkai.ndl.go.jp

 

 第19回国会 衆議院 経済安定委員会 第26号 昭和29年5月21日

昭和二十九年五月二十一日(金曜日)
    午前十一時二十五分開議
 出席委員
   委員長代理 理事加藤 宗平君
   理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君
   理事 栗田 英男君 理事 松原喜之次君
   理事 菊川 忠雄君
      木村 俊夫君    迫水 久常君
      西村 久之君    平野 三郎君
      杉村沖治郎君    三宅 正一君
      水谷長三郎君
 出席政府委員
        建 設 技 官
        (道路局長)  富樫 凱一君
 委員外の出席者
        議     員 竹谷源太郎君
        専  門  員 円地与四松君
        専  門  員 菅田清治郎君

 当時の最新資料について

 ○三宅委員 (略)中央道路の調査費として前年一千万円組みまして、それで一万分の一の航空写真による観測の地図ができているそうであります。それから山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、東京、神奈川、滋賀、各県それぞれこの中央道路関係の総合開発の調査報告書ができているそうであります。(略) 

縦貫道の意義について

○竹谷源太郎君 (略)この中央道によつて開発しようとする資源地帯は、山の中で全然未開発のところをなるべく開発したいというところにねらいが亙るのでございます、ことにこの大井川上流の赤石山系は、幅四十キロほどでございまして、これは日本にまれな非常な美林だそうでございまするが、全然僻地であつて切り出すこともできない。そういうところを横に貫通をするこの道路ができますると、一年に百万石ないし二百万石ぐらいの森林資源が積み出せる。そうすると、二百万石といたしますると、石千円としても二一十億の収入が年々入つて来る。(略)

この狭い国土で一五・六パーセントしか農耕地になつておらないし、その他住宅、道路、工場敷地、荒地等を除きますと、山林が七〇%くらい、しかもその山林には六十億石の木材が入つておるわけでございますが、この六十億石のうち二十四億石だけを利用しておつて、あとの三十六億石、すなわち六〇%は全然未利用の森林資源でございます。そうした利用されていない土地、森林、地下資源というものを開発することによつて、いわゆる日本人の使つている土地を倍にも増しまして、そうして日本の自給自足体制を確立する。日本人が海外に移住し、あるいは人口問題では産児制限をやる、あるいは貿易をやつて大いに外国にたくさん物を売つて食糧を買つて来るということをやりましても、今日の世界情勢においてはとうてい移民は焼け石に水である。産児制限についても現在の一億に近い人口を殺すわけには行かない。貿易でもつて食おうといたしましても、なかなか日本の品物をどしどし自分の思う通りに外国に売ることができない。また輸出する品物をつくる原料はかなりの分を外国から買わなければならないということになると、今後日本人はどうして食つて行くか、生活程度を高めるというようなことはまつたく思いもつかないことになると思うのでございます。そういう日本の国土の利用の現状にかんがみて、日本のまだ利用されていない七〇%にも上る森林地帯をできるだけ開発をして、そうして日本人の利用する土地を多くするということが日本人の今後生きるために残された唯一の道ではないか。この問題を解決するためにわれわれといたしましては、北は北海道から南は鹿児島に至るまで延長約三千キロございますが、これを五百メートル前後の高地帯にハイ・ウエーをつくりまして、そうしてこれを幹線といたしまして、肋骨道路を海岸の方に出しまして、そうして農耕地を三百万町歩くらい拡大をしたい。森林資源を十分に開発する、地下資源を開発する、それから電源を開発する。そうして農耕地を拡張して農家の二、三男対策あるいは食糧の自給をはかる。それから高原地帯に精密機械工業等を発達させて、りつぱな工業製品をつくるというふうな、あらゆる日本人の生活領域を広げまして、そうして自給自足体制を確立して、根本から日本の国家経済と国民生活を建て直して、革命的な経済的、社会的、これは方向でございますが、こういう革新的な革命的な開発をするのでなければ、とうていわれわれ日本人の将来の生きる道はない。かような観点から第一期の事業として、まず東京・神戸間の直線道路をつくりまして、残されたる資源の開発に着手しよう、あわせて東海道の交通の閉塞状態を解決しよう、(略)

建従改主論による反論

○杉村委員 (略)われわれ日本民族がほんとうに生きて行こうというためには、何よりも国際関係に入る以外にない。自給自足なんということを考えておることは、私はきわめて近視眼的なことではあるまいかと思う。輸入すきものがあつたらどんどん輸入し、そうしてどんどん輸出する、そしてわれわれ日本民族は海外に出て行くことを考えなければならぬ。これは私個人の私見でありますが、少くとも、日は世界国家をつくらなければならない時代なんです(略)

人口はふえて行く、狭いから山の奥までも開発しなくちやならぬといつて、こんな狭い中ですみからすみまで重箱のすみをほじくるようにさらつてしまつたら、あとはどうなる。そんなことではわれわれ日本民族は世界に雄飛することはできないであろうと思うのであります。(略)

それから道路の問題につきましては、確かにこの道路は不必要だというのではありませんけれども、日本の現在の地方の道路、橋梁の状態と比較して、日本の経済上これに年間二百億の国民の血税を投じてやることが——現在なお地方に行つてみますならば、橋が満足じやない、あるいは道が狭くて自動車、トラックが通ることができないというようなところがたくさんあるのであるが、そういうものを置いておいてもこういうものを先にやる方がよいかどうか、これらについて御所見を伺いたい。

ヨーロッパは山のてっぺんまで牧場

○竹谷源太郎君 (略)日本民族を何とかして行かなければならないという問題を考えますときに、ヨーロッパ各国を見ましても、山のてつぺんまで牧場にし、あるいは小麦畑にいたしておるのでありまして、日本人が食えない食えないと言つておりながら、まだ利用し得る土地を利用しないでいて、外国に援助を訴えるようなことはまことにこじき根性でありまして、自給自足を全部するということは困難かもしれませんが、でき得る限り自給自足をするようにわれわれが努力をするのが当然であり、またわが国の独立を、またわれわれ日本民族の矜持の上からも外国に恵みを乞うようなことは断じて許されない。われわれは自分でなし得ることは最大限にやつてわれわれの生活を建て直してこ高めてわれわれの独立と、平和と民族の幸福が守られるのではないかと考える次第でございます。議論にわたるようでございますが、そういう気持からこの法案を提出した次第でございます。

建設省の考え方

○富樫政府委員 (略)この法案によります第三条第二項の要件を満たすと考える道路についてごく初歩の調査をいたしました。すなわち航空測量をいたしまして、これを一万分の一の地図に図化いたしました。この程度の調査を行つております。これを実施しますとすれば、今後必要な調査はこの図面に数線を入れました結果について現地を踏査いたします。踏査いたしましてそのうちでこの線がよいときまりました線について実測をいたします。実測をいたしました結果について、さらに大きなトンネルとか橋梁がありますので、そういう点の実施調査が必要になります。それらの調査をいたしまして実施設計をつくつて実施するということに相なるのでございまして、まだ相当の調査を要するという事業が残つておるわけでございます。  そこで日本の道路の現況でございますが、府県道以上の延長が十四万キロございます。十四万キロのうち改良されておりますのは三万キロ足らずでございまして、なお十一万キロは改良されずに残つております。また橋梁もほとんど木橋でございまして、橋数は六万二千ございますが、その半数は木橋である状況です。また鋪装につきましてはごく蓼々たるものであります。  これらの日本の道路をどういう計画で今後改修しなければならぬかと申し上げますと、ただいま道路整備五箇年計画が閣議決定されましたので、その線に沿うてこの五箇年間は道路の整備をいたすわけてございますが、この五箇年間で総額が事業費にいたしまして二千六百億でございます。年間にいたしますと三十年度以降約五百億の事業をいたすことになりますが、これをやりましても日本道路のまだ二〇%程度が改良されるということになるわけでございます。  そこで提案されております国土開発中央自動車道でございますが、これは公共事業費でやるというふうにも受取れないのでありまして、自動車道路ということになりますと、あるいは有料ではないかとも考えられるわけでございます。公共事業費でない他の資金でやるということになりますと、これはまた別の観点からながめなければならないと存じますが、こういう開発道路につきましては、われわれといたしましても公共事業費の中に資源開発の道路を含めて考えておるわけでございます。ここに提案されております中央自動車道路は高速自動車道路の性格と開発道路の性格と二つ持つているように考えるのでございますが、開発道路の規格は高速道路の規格と異なるわけでございます。高速道路は幅員の広いものがいりますし、また高速を出す関係で勾配、曲線等も抑えられて来るわけでございます。また高速道路の第一の目的は短時間に結ぶということでございますので、高いところに上つてまた下るとか、あるいはまた年間使用できるような地点を選ぶべきでありますので、そういう条件に合うような道路を選べばよろしいと思います。また開発道路は開発さるべき地域に最も便利なようにつくればよろしいので、必ずしも高速を出す必要はないわけでございます。また開発道路になりますとこの道路の培養線がたくさんできると思いますが、それらの道路と結びつきやすいように、また森林資源の開発でありますと木材を切出しやすいような道路を選ぶべきでありまして、この二つの違つた性格の道路を結びつけて一本にする場合には、おのおの別にこしらえるよりも、あわせてつくつた方が建設費も安いし、また年間の使用の点からいつて便利であろうと考えます。ここに提案されております道路がどのくらいの建設費がかかるかはまだ今後の調査をまたなければはつきりいたさないのでございますが、それらの調査の結果をまつて、二本つくるよりも一本でやつた方がよろしいということならまた別でありますが、今の段階で意見を申し上げるのははなはだ行き過ぎかと存ずるのでございますけれども、ただいまの一万分の一の平面図のできたところでわれわれが中心線を入れて考えますと、問題は赤石山脈を抜けるところで、これを高さ九百四十メートルと押えまして抜けることにいたしますと相当の困難があります。あるいはセンターを赤石山脈でなくほかに求めなければこの線は通り得ないかもしれないと考えておるのでございまして、これらの点から考えますと、おそらく建設費は莫大なものになろうと考えますし、また相当標高の高いところを通りますので年中使うことができるかどうか、あるいは使うにいたしましても相当の維持費をかけなければならぬのじやないかというふうに考えます。また非常に長いトンネルができて参りますので、これらの維持費は年間相当の費用にもなろうと考えます。そこでこの法律のような道路の事業を行うものが、単行法の方がよろしいかどうかという問題でございますが、前に申し上げましたように開発道路であるということであるならば、総合開発計画の方で総合開発の計画がきまれば具体的に道路の計画を定めまして、それによつてやつて行くべきではないかと考えておるのでございます。また公社をこしらえて実施すべきかどうかの問題でございますが、これが公共事業費でなく、有料道路でやるというふうなことになりますと、これはまた公社ということも考え得ることと思うのであります。こういう事業を公社でやつた方がいいかどうかの問題については、まだ研究が十分でございませんが、もし料金をとるということになれば、公社ということも考えられるというふうに考えております。

 道路改良か弾丸道路(東名)か縦貫道か?

○松原委員 (略)さて日本の交通については、先ほど局長がおつしやつたように、まだ改良すべき道路がたくさんある、まずそれが先である、そうして中央道路といい、あるいはいわゆる弾丸道路といい、そういうものはあとまわしにすべきである、私はこれもまことに筋の通つた話であると考えるのであります。(略)

従来の東海道を通るあの弾丸道路の計画をあくまでも固執されるのか、あるいは少くともこの新しい構想を一応考慮に置いて、そして比較して、そのいずれをとるかをさらに再検討するというような熱意と申しますか、興味がおありになるのかどうかということを承つておきたい(略)

東京ー神戸間は調査終了

○富樫政府委員 東京—神戸間の高速道路についてのお尋ねでございますが、この高速道路につきましては、二、三年来調査を進めておりまして、二十九年度で調査は完了いたします。ただいまのところでは計画線をきめまして、実際の計画を立てておるところでございます。
 この道路をなぜ必要と考えたかでございますが、御存じのように東海道線には日本の六大都市が並んでおりますし、また工業の生産額におきましても、日本の生産額の大半を占めております。また人口におきましても、日本の人口の三十数パーセントを持つておるのでございまして、現在の東海道の交通から推測いたしますと、もうすでに飽和状態に達しておることが認められるのであります。そこでもう一本新しい東海道線をつくらなければならぬと考えておるのでございますが、日本の全体の道路整備が、まだ非常に進みが悪い状態でございますので、公共事業費でこの間にもう一本つくることは、日本の財政の上からいつてなかなかむずかしいと考えておるのでございます。そこで他の資金——民間の投資でもよろしゆうございますし、外資でもよろしゆうございますが、公共事業費でない他の資金を投じ、またこの道路を有料にするということでやつたらどうかというのがわれわれの案でございます。
 一方現在の東海道につきましては、公共事業費で改修を進めておりますけれども、これもはなはだ遅々として進まない状態でございます。これもわれわれとしては公共事業費で、現在の東海道を重点的に改良するつもりではございますが、しかし遠からず来るであろうこういう交通の問題に対しては対処できないというふうに考えておりますので、この高速道路はぜひ実現させたいと考えておるわけであります。

東海道反対論

○三宅委員 (略)しかしながら日本のように国土が狭くて、しかも人口が稠密であつて、そうして耕地が全面積の一割七分くらいしかないという地帯におきまして、たとえば東海道で道路が非常に輻湊するからといつて、そういう線にもう一本つくるというような考え方は、国土総合開発の考え方からいつても、私どもは間違いではないかと思つておるのであります。やはり日本のほんとうの総合開発から行きますと、第一に東海道などにつくります道路よりは、今ここに出ております中央道路——もとよりこれはひつぱつて行く線やいろいろにつきましては、調査の結果多少かわるところがあろうかと思いますが、プリンシプルといたしまして、ハイ・ウエーの道路をつくりまして、そうして総合開発をやる。人口の疎開をやる。さらに肋骨道路をつくるということで、たとえば東京・神戸間などにいたしましても、補償料などが非常に高い東海道に並行させるよりは、総合開発をやりながら肋骨で入つて行けば、東京から神戸、静岡から肋骨線によつて名古屋、こういう線で幾らでも行けるし、裏日本との関係もつけられるという意味におきまして、第一期として東京・神戸間の中央道路をつくる。それから北海道までずつとつくるというような、道路の基本政策をつくらなければ、十七箇所、十八箇所に国土総合開発計画地域というものをつくりましても、これを縦横につなぎます一本の筋金が入らなければ、私どもはほんとうの意味の総合開発にはならぬと考えておるのであります。そういう意味で、われわれは道路の専門家でも何でもないけれども、一つの政治家的な感覚から総合的に判断いたしますと、やはりこういう構想の方がほんとうに建設的だと考えておるのでありますが、そういう点についていかがでありますか。

開発道路(中央道)に反対ではない

○富樫政府委員 (略)この開発計画が定まつておるところにつきましては、できるだけその線に沿うように、公共事業費も入れたいと考えておるわけでございまして、そういう観点からはわれわれも開発に十分協力いたしたいと考えておるわけでございます。

市街地の改良より縦貫道路

○三宅委員 (略)群馬、埼玉等をまわる場合におきましても、人口の密集しております今の既定の路線を拡張するといいましても、非常に補償費がかかる。従いまして私どもの感覚から行くと、ああいう道路はああいう道路として、それのでこぼこであるとか屈曲を直して行きますことはよろしいが、それを何倍にも大きくするという線は出て来ないと思う。むしろ側線道路さえできまして、肋骨から少し入りますれば——現在の道路技術、ことに佐久間などで使つておりますあのトンネル開鑿技術等から行きますれば、それこそ日本の七割を占めております奥地帯の開発と、そうして補償費等が少い意味において高速道路というものは並行させるべきものじやないか、これを別々に考えることは非常な間違いじやないか、日本のようなところにおきまして道路を整備して行きまする方針としては、平野地帯等におきまする道路というものはそうむちやくちやに広いものにする必要はない、しかしながらほんとうに、たとえば東京・大阪間の荷物を運ぶとか、東京・名古屋間の荷物を運ぶとか、東京・静岡間の荷物を運ぶというような、鉄道の輸送は別といたしまして、トラック輸送というものは、その中央道路的なそういうところをハイ・スピードで通らせる、そうして肋骨線でおろさせる。そうして東海道線に並行しておるような線は、むしろ長い距離のトラックなどには運ばせないという行き方で行くのが、日本のようなところにおける道路政策の基本理念として考えるべきことではないかと思うのでありますが、アメリカなどとは事情が違いますから、そういうふうに思うのですが、いかがですか。

コストについての指摘

○富樫政府委員 この開発道路と高速道路は、私は別々に考えておるわけでございますが、これを合せてやつた方が便利であるというときには、合せてやつた方がいいと考えるわけでございます。そこで合せる場合にその建設費と維持費ということが問題になりますが、その総和において少い方をやる、また利用度の高い方を選ぶようにした方がいいと考えておるのでございます。お話のように、平地に持つて行きますと耕地もつぶれますし、その他補償の問題も高額に上ります。これはお説の通りでございます。また今の脊梁の方に持つて行きますと、これに連絡する道路というものが非常に延長も長くなり、また建設費も高額なものになつて来るわけでございます。また中央道路の全体の計画また建設費維持費等もわかりませんので、この点については比較できないのでございますが、われわれが考えたところでは相当になります。だから別々に考えた方がよくはないかという気がするわけでございます。

静岡から井川経由で大阪論

○三宅委員 (略)たとえば静岡から大阪へ貨物を持つて行きまする場合におきまして、中央道路、脊梁道路に側線が一本、静岡から最短距離でついていますならば、何も混雑する東海道などをトラックを通す必要はない。むしろ早く行けるし障害物がないからということで行ける。(略)

私どものしろうと的直感から行きますれば、この案で出ておりまする中央道路はもとよりでありますが、九州から北海道に及ぶ背骨道路の幹線というものが、長距離輸送のハイ・ウエーの高速度ウエーであつて、しかもそれによつて人口の疎開も総合開発もできる。(略)

横断道の非現実性と時間距離の観点を指摘

○富樫政府委員 (略)高速道路というものは両地間を短時間で結ぶという点に置いておりますので、脊梁は通つておらないのでございます。(略)

かりに静岡と今の脊梁道路、中央道路を結ぶことにいたしますと、静岡から大井川の上流に一本線を引くということになるわけでございまして、あの区間で約千メートル上らなければならぬことになるわけでございます。これは不可能ではございませんが、非常な金がいることになろうと予想いたしておるのでございます。これは私ども何も脊梁がいやだというわけではございませんので、ただ現在の財政の上から行きまして、建設費、維持費を考え、あわせて年間使う上からの便利の点から言いまして、いい方をとるべきであるというふうに考えておるわけでございます。

縦貫道の発見はとおとい

○三宅委員 (略)私は東京・名古屋間、東京・大阪間、東京・神戸間ということを考えまして、何といつたつて貨物の一番出るのはその関係が一番よけい動く、そこに高速道路ができますれば、かりに一千メートルの標高の高いところに肋骨線を静岡からつくらなければならぬということになりまして、それが遅れましても、静岡の分は今の線を通つて行けばいいので、そうして非常に交通の煩雑がなくなりますから、スピードも出せるということになる。それはそれで改善できて行く、そうして一番大量に動きまする東京・大阪、東京・名古屋というようなものがそこを通つて行くということによつて、逐次つくつて行けばよろしい。(略)

背骨道路というものは非常にとうとい発見であると考えておるのであります。(略)

それは高速道路ではないのではとの指摘

○富樫政府委員 (略)そういう線であるならば、そういう線を何と名をつけましようか、高速道路ということではなくてつくつたらいいのではないかというふうに私は考えるのでございます。たとえば富士山麓にいたしますと、(略)

現状においてはそれだけの幅もいらぬし、またそれだけの高速を要求するわけでもないと考えます。そのときどきの必要に応じましてそれに応じた道路を建設して行けばいいではないかというふうに考えます。

様々な不都合な指摘があっても中央道推進

○三宅委員 (略)そういう意味において本格的な高速道路というものは、雪の条件とかいろいろなことも指摘されておりますけれども、中央道路に関する限りそんな雪の関係は私は大したことではないと思うのでありまして、それは別として、多少そういうことの不便がありましても、高速道路というものはむしろ脊梁山脈を中心にした相当の高い地帯で人口の少い地帯につくることが、立体交叉を考えれば考えるほど私は日本の実情には即しておると考えますので、議論になりますから御答弁をいただきませんけれども、ひとつ十分にお考えを願いたいと存じます。

現在のリニア中央新幹線にもつながる不毛な議論だと感じます。

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こう言う議論の末、東京~名古屋間の高速道路建設開始は5年も遅れました。しっかりと現実的な調査をしていた、東名~名神は事前調査ルート選定が1954年(昭和29年)には終わっており、政治的プロセスとしての決定待ちだったのです。しかし中央道初期ルートは現実的なルートが確定しておらず、北回りルートに変更後も地元調整が長引き名神高速全通から17年後に開通しました。

その後の道路公団全国料金プール方式経営において、東名、中央と言う稼ぎ頭の全通が遅れたのは痛手であっただろうと思います。ただ中央道は名神と同じ路線に分類され会計報告されていたので長野辺りの山岳区間の採算性が良かったかは疑問に思われます。

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