うたちゃん日記

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「海と陸のシルクロード構想」鉄道貨物ルートの陸は名ばかりか?(中華人民共和国の経済政策)

「海と陸のシルクロード構想」を発表したことで、中華人民共和国の国内沿線では多くの期待を寄せているようである。しかしながら、ちょっと鉄道や政治に詳しい人からみれば、これは多くの難題を抱えていることが容易に想像つくであろう。

1)鉄道の規格は、ユーラシア大陸内でいくつか異なっている。

<線路幅>
アジア諸国では標準軌1435ミリ
  →これは日本がかつて大陸に勢力を拡大した名残でもある。
・ロシア経済圏では1520ミリ
  →ロシアの経済圏独自に発達した路線網の名残である。
・ヨーロッパ諸国は標準軌1435ミリ
  →ヨーロッパ諸国が国際列車の運転が盛んだったため、標準軌を採用。

アジア経済圏←→ロシア経済圏←→ヨーロッパ諸国の直通運転には、軌間の異なる台車の履き替え施設が必要で、大量輸送には向かない。

<車両限界>
アジア諸国では、3400ミリ(幅)×4500ミリ(高さ)
  →線路幅と同じく、かつての日本の影響で日本における新幹線の規格と同様である。
ヨーロッパ大陸、3150ミリ(幅)×4280ミリ(高さ)
  →日本の在来線より若干大きい。

中国規格の貨物車両はヨーロッパに入れない。ヨーロッパ大陸規格に合わせる必要がある。
特に海上コンテナ規格の積荷では、低床型車両が必須となるが、異軌間直通用取り替え台車もこれに対応させる必要がある。

<軸重>
機関車牽引となる貨物列車については、被牽引側の貨車については、あまり考慮の必要はないと思われる。機関車については、線区の規格毎に用意する必要がある。

<有効長>
おそらく、それぞれの鉄道システムで、運転上の有効長、荷扱い上の有効長が異なっているため、運転上、荷扱い上の列車分割が必要となると思われる。



2)国際列車については、多くの国境線を越えることになる。

<通関システム>
ヨーロッパ経済圏のように、国境をまたぐ場合でも、通関手続きをできる限り簡素化しなくてはならない。現行の経済圏では、通関に所要時間を要すること、貨物の滞貨を発生しかねない。

港←→公海上←→港 となる海上輸送に比較して手続きが煩雑になり、鉄道輸送は見かけ上の所要時間以上の輸送時間が発生する可能性がある。

<通過貨物の各国別取り扱いの違い>
鉄道輸送における国際輸送は、通過貨物が通過国によって扱いが異なり、輸送可能な貨物が限定される恐れがある。

<通過する地域の気候による取り扱い>
砂漠地域、極寒地域等、様々な気候を通過するため、積荷及びコンテナ、貨車に特殊な仕様を装備する必要が発生する。

<輸送中の製品劣化の可能性>
所要時間、気候、取り扱いの丁寧さにより、鉄道輸送は、輸送貨物の製品劣化を伴う可能性がある。



3)鉄道輸送は国際的に見て決してコストの安い輸送手段では無い。

ジェトロ資料による調査によると、鉄道輸送は航空輸送に対して10%程度しかコスト優位性を持たない。輸送の安定性、定時性、速達性を考えると、航空輸送の方が良さそうである。

例)北海道小樽市からモスクワへの輸送コスト。(農産物)
・鉄道500円/kg
・航空550円/kg

鉄道輸送はシベリア鉄道経由となる。シベリア鉄道は、ロシアによる単一国運営なので、鉄道システム上の問題は無い。通関は、小樽、ウラジオストックで必要。



4)鉄道輸送ルートは、現状ものすごく需要が少ない。

現在、中華人民共和国~ヨーロッパへの国際貨物列車は、二ヶ月に1便。これは、そもそも鉄道輸送が適している物資そのものが少ないことを示している。将来構想は、たったの週に1便だそうで、経済的にインパクトのあるものとはかけ離れていると言えよう。



<結論>
鉄道貨物ルートによる「陸のシルクロード構想」は、中華人民共和国の国際経済への影響力誇示を示しただけである。背景には、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を急ぎたいためにぶち上げたのだろう。



※映像ニュースで確認したところ、中華人民共和国の始発駅は義烏駅、欧州側の終着駅がスペインマドリード、モンゴル経由のようです。車両は、海上コンテナ輸送用貨車低床式それほど長編成ではなさそうで輸送力は大きくなさそう。荷扱い線は1線のみ。8カ国を経由し21日間の所要時間だそうです。


※レコードチャイナによると40個のコンテナを積載していたとのこと。ほかにドイツ便もあるそうだ